良い文章の書き方 その3 ― 句読点の打ち方

「ぎなた読み」という言葉遊びがあります。
読点(、)の打つ位置を変えて、違った意味に変えてしまう読み方のことです。
ある人が「弁慶が、長刀を持って」を「弁慶がな、ぎなたを持って」と読み違えたことからこの名前が付いたといわれています。
ぎなた読みには、日本語の面白さと難しさが良く表れています。
今回は、そんな「句読点」、特に「読点」を中心にお話しさせていただきます。

句読点とは「句点(。)」と「読点(、)」の総称です。
句点は文の終わりに打ち、その文の終わりを現す役割があります。
一方、読点はその文を区切って意味を分かりやすくために、文の途中に打ちます。

読点を打つ場所には「絶対」といえる決まった法則はありません。
どちらかというと執筆者の感覚による部分が大きく、プロの文章でも読点の打ち方には大きな違いがあります。
ただ目安としては、次のような場合に読点をつけるとされています。

  1. 長い主語を示した後
     例:山奥の村から出たことがない祖母は、海を知らない。
  2. 対等な関係の物事を並べて示す場合
     例:風は爽やかで、空は澄み切っている。
  3. 原因と結果の間
     例:受験勉強を頑張ったおかげで、志望校に合格できた。
  4. 逆説と関係の間
     例:傘を持たずに出かけたが、雨が降ってきた。
  5. 誤読を避けたい場合

特に5は、冒頭で紹介したぎなた読みを例に示します。

  • ふたえにしてくびにかけるじゅず
    →二重にして、首にかける数珠
    →二重にし、手首にかける数珠
  • きょうはあめがふるてんきじゃない
    →今日は、雨が降る天気じゃない
    →今日は雨が降る、天気じゃない」 

ひとつの点の位置が変わるだけで、全く違う意味の文になります。

読点をつける目的は、意味の読み違いを防いで、読み手がスムーズに文の意味を理解できるようにすることにあります。
全く読点のない文は読みづらいくらし、逆に多過ぎると文章が細切れになってやはり読みづらくなります。

どこに打ったら良いのか迷う場合には、一度音読されることをお勧めします。
音読した際にひと息つく所は、読点を入れても違和感がないはずです。

北斗書房では、お書きになった原稿を読ませていただき、適切な句読点のアドバイスを行うことができます。
是非お気軽にご相談ください。

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