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先哲の東洋的思惟に学ぶ 畏怖と含羞
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分類人文・思想
我が国は言霊(ことだま)の国とも言われる。
和辻哲郎氏、柳田国男氏などなど、多くの民族学者や先哲、詩人・俳人・歌人により、そして茶道、華道、能楽など芸道の先達により産み出された含蓄ある言葉の数々は、暗黙知として日本人の感性に染み込んでいます。
万葉の古、大和言葉の生み出された古より積み上げられております。
生まれてこの方、多くの言霊が直に肌感覚として筆者にも有難く身に付いております
(「はじめに」より)
六十年間、基礎医学に従事した筆者が、先哲の教えである東洋哲学の立位を加味して、
現代社会の抱える諸課題を改めて見直し、本書を記した。
- 分類
- 人文・思想
- 表題
- 先哲の東洋的思惟に学ぶ 畏怖と含羞
- 執筆者
- 羽室 妙恕
- 版型
- B6
- 頁数
- 238頁
- 発行日
- ISBN
- 978-4-89467-491-2
- 価格
- 990円(税込)
〔目次〕
はじめに
第 一 章 先人からの学び ~心に残る言葉~
第 二 章 過去を顧みて未来を思う ~妙と妙恕への道~
2-1 日本人の忘れもの
2-2 哲学は人生の深い悲哀から始まる
2-3 妙恕の由来と妙
2-4 慎みと情感を想う ~未来への羅針盤~
2-5 異文化としての女性への尊崇
第 三 章 漂泊の真旅を支えた先哲の教え
3-1 仏陀の教え
3-2 老荘思想
3-3 道元禅師
3-4 親鸞上人
3-5 漂泊の真旅へのあこがれ 西行、世阿弥、芭蕉
3-6 我国の東洋哲学
ハイデガーの哲学と老荘思想、
西田幾多郎、鈴木大拙、西谷啓治 佐伯啓思
まとめ
3-7 研究の真旅と教え
第 四 章 現代日本の課題と東洋的思想 ~和らぎの未来を思う~
4-1 憂国の主張
4-1-1 藤原正彦氏の主張の我流解釈
4-1-2 多様性と野放図の取り違え
新自由主義との決別
グローバリズムの病根と弊害
4-1-3 保守の平和惚け
4-2 名を重んじる勇気、自ら欺かざる常識
4-3 多様性とジェンダーフリー
4-4 生物学的環境要因と少数派
4-5 現代日本の課題
4-5-1 マスメディアの堕落
4-5-2 日本の科学研究への問題提起
4-5-3 医療技術、医療行政の未来
4-6 文化の再興による社会変革
4-6-1 文化としての科学と技術の見直し
4-6-2 学校教育における東洋思想
4-6-3 公僕に求められる哲学と文化的理念
4-6-4 スポーツと知行合一
4-7 心優しい若者による地方創生と日本再生
4-8 デジタル革命と文化破壊の危惧
4-9 食糧自給と地球温暖化・気候変動
4-10 核廃絶と平和憲法
4-11 文化の理念と高齢弱者の支援
第 五 章 省察する思惟が支える日本の未来
おわりに
文献
謝辞
付録
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〔書評〕
体験の価値はその儚さにあるとする筆者が、科学者として日米欧での真旅で重ねた内観的省察や東洋的思惟を「畏怖と含羞」の想いを込めて語る。
女性と男性の間のしなやかな魂の交流で紡がれる素敵を知る京都人の書。「ものの哀れを感じ取るという日本的美意識」と「情に徹し所与の命を生き切る」という「老荘思想の無私の理念」を先哲、伝統文化の担い手、漂泊の先人の心を穿つ数々の言葉から描出し紹介する。白洲正子氏の西行や世阿弥と能についての語りなど柔らかな感性が随所に散りばめられる。
閉塞感に覆われた混沌の現代社会の広汎な諸課題について、生き生きとした自在の個の確立と大量消費・廃棄の欲望社会からの決別の覚悟を述べる。「魂の階調としての和を尊ぶ心」を若者へ託し未来社会への想いを語る最終章は圧巻。